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シュトロハイム『グリード』 2008.5.28



22日木曜日に、アテネ・フランセ文化センターに、シュトロハイムの「アルプス颪」Blind Husbands 1919(70分)と「グリード」Greed 1925(107分)を観に行きました。
『アルプス颪』のシュトロハイムがすっっごくインパクト強く、何とも言えない冷たい魅力と言うか、存在感がスゴイっすよね。シュトロハイムに言い寄られる奥さん役の演技も、何とも言えないさびしい感じが上手かったです。
まあ、これはともかく、『グリード』のすごいこと!!いやはやビックリでした。
最初の金鉱シーンから象徴されている「金」。
金がいかに人を狂気に走らせるか、宝くじがいかに人生を狂わせるかを見事に表現していて、人間誰もが持っている強欲さが実に実に見事に表現されています。
トリナの狂気は、強迫神経症的な感じがしました。

結婚式での飲食シーンがとても印象的でして、あれはスゴイです!
人間の欲望、強欲さが、あのシーンから感じられます。

『黄金』 (感想こちら) の23年も前に、こんなすごい作品があったなんて!!
これを観たらジョン・ヒューストンなんて屁みたいなもんでして。いやもう、どんなに言葉をつくしても無理です。この凄さを伝えられないのがもどかしい!!

こんなDVDがあるなんて~~ここは送料込みで価格もいちばんおトクだったと思います~~
淀川長治オリジナル解説も付いてるし~~

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テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

『散り行く花』 2005.7.4

だいぶ前に録画したのを、やっと観ました。
わかっちゃあいるものの、やっぱいいです。グリフィス&リリアン・ギッシュものは。
リリアン・ギッシュの可愛らしい事と言ったら !
どー見ても西洋人な中国人チェンハンに、綺麗な服と人形を与えられたルーシーに、おにんぎょさんはアナタの方です ! と言いたくなってしまうかわいさです。まさにフランス人形ですよね~ほんと。
ブリッコでもない、嫌味でもない、本当に清純可憐で可愛らしい女優さんって、彼女以上の人はいないかもしれない…とまで思ってしまいます。
そんなリリアン・ギッシュは、ルックスだけの女優ではぜんぜんないんですね。だからこそ嫌味にならないのかもしれません。演技の上手さに圧倒されます。暴力を揮う父親に怯える表情は、ほんとに凄いっす。
笑った事がない彼女が無理に笑顔をつくる所とか。
そして、幸薄な少女が実に似合ってしまうのです。

この手の女優さんは、若くて美しい時期が過ぎると引退してしまう人も多いですが、彼女は『八月の鯨』で、あの可愛らしいままおばあさんになった姿を見せていました。
あれも、とっっても好きな映画です。ベティー・デイビスも良かったです~。また観たいぞよ。


  

リリアン・ギッシュ

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テーマ : 昔の映画
ジャンル : 映画

ルドルフ・ヴァレンチノ『血と砂』 2005.2.11

ロジャー・コーマンの『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』と共に、図書館でタダで借りてきたビデオです。タイロン・パワーバージョンが有名でしょうか。

んで、こちらは結構退屈。弁士ナシでした。この辺のは弁士入りの方がええな~。
まあしかし、この頃の映画は衣装見るだけでもおもしろいです。アールデコ調で素敵。ウエディングドレスがすっっごく素敵でかわいかった~♥ ヴァレンチノの闘牛の衣装もかっちょいいし。

この映画の言いたいメッセージはわかりやすく伝わってきたんだけど、ちと闘牛ファンには気分悪いかも・・・
まあ、闘牛に限らず、何にでも言える事なのですが。
そして中井英夫が『虚無への供物』で伝えたかった事も同じだと思います。

それにしても、前から思っていたんだけど・・・ヴァレンチノ、かっこいいですか?
昔写真で見た時には、カッコイイな~と思ったんですよ。しかし映像で見てみたら、あら? こんなもん? とか思ってもーて。(^^;)
『シーク』だっけ? (ブッチャーとタッグ組んでいたプロレスラーの事ではありましぇん) タバコの煙りを鼻からぶあーっと噴くですよ。それも何度も。あの時代はそれがかっこ良かったのかしらん……
お顔は、角度によってはイケメンだが、角度によっては、マヌケ面・・・まゆげはつながってるし。(言い過ぎですか?ごめんなしゃい。)
一瞬だけ見ると、かっこいかったりもするんですが…デビッド・ボウイとフレディー・マーキュリーの『アンダープレッシャー』のビデオクリップに映ってなかったけ? それかRATTの何かだったかもしんない…(ふるっ! LAメタル (笑)) あのキスシーン (はこの『血と砂』のキスシーンだと思う) はかっちょいっす。

そーいや、ダグラス・フェアバンクスも、かっこいいのかなあ、と疑問に思ったですよ。猫背だし。



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テーマ : 昔の映画
ジャンル : 映画

カール・ドライヤー 2005.1.18

この日の日記 に、「聖なる映画作家 カール・ドライヤー」のタイトルで、新文芸坐オールナイトで観たカール・ドライヤー作品の感想を書きましたが、このタイトル、新文芸坐のHPに出ていたタイトルそのまま使ったものの…実を言うと、<聖なる>映画作家とゆーのに、ちと抵抗があったんです。何か誤解与えそうな気がしまして。
だってベルイマンみたいな印象受けませんか?
まあ、『奇跡』のラストなんかは、ちと『処女の泉』↓を彷佛させるものがあるにはあるけど・・・



実際ドライヤーが信仰を持っていたのか、私は知りません。ただ、映画から特に信者ぽい印象は受けなかったので・・・しかし、もっと広く捉えて「聖なる」とは言えるかもしれません。

そんな事を考えつつ、新文芸坐で購入したプログラムをパラパラと見ていたら・・・(まだちゃんと読んではいません) 映画史家の小松弘さんの次の文章がありました。

「しばしば誤解されていることだが、ドライヤーの映画は決して宗教的ではない。彼の映像は決して禁欲的ではなく、むしろ非常に官能的である。『奇跡』(原題は「言葉」) のように彼が神について触れることはあるが、そうしたときでも彼の関心は常に人間のレヴェルにある。」

そうそう!! とハゲしく思っちゃいましたよ!
『裁かるるジャンヌ』にしても、フランスを救った英雄としてのジャンヌ・ダルクではなく、人間ジャンヌ・ダルクが描かれているんです。なんつーか・・・私、とてもかわいい人だなーと思いました。

そして人間を高みに置くんです。なので、宗教とは実は逆のものかもしれない、と思います。

長年暖めていたのに実現できなかった、キリストの映画化、実に実に実に実に残念!!
人間としてのキリストをどう描いたか。すご~~~く観てみたかったです。

それと、ドライヤー自身の次の言葉。

「私の映画のできのいいほうの作品を見た人は、どんなに私が人間の顔を重視しているか、わかってくれるだろう。顔とは、汲み尽くすことのない源だ。
スタジオで不思議なインスピレーションの力によって表情が変わっていくさまを撮る行為ほど、気高いものはない。顔が内側から変わっていって、詩へと高まっていくのだから」

ジャンヌにしても、『怒りの日』にしても、1つ1つの表情には実に驚かされます。
また、信者独特の表情と言うのが、『怒りの日』にも『奇跡』にも皮肉のように見られ、(ジャンヌにも少し) おもしろかったです。

 

今読んでいるミシュレの『魔女』(*感想こちらこちらにUPしています) には、ドライヤー作品とのすっっごい共通点があるんです。
あと数日で読み終わる予定なので、『魔女』の感想と共に、またカール・ドライヤーについても合わせて書きたいと思います。

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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

聖なる映画作家 カール・ドライヤー 2005.1.16

吸血鬼(1931・独=仏/ユーロスペース)製作・監督・脚本:カール・ドライヤー
怒りの日(1943・デンマーク/ユーロスペース)★ヴェネチア映画祭審査員特別表彰
裁かるるジャンヌ(1927・仏/ユーロスペース)監督・脚本:カール・ドライヤー
奇跡(1954・ベルギー=デンマーク/ユーロスペース)★ヴェネチア映画祭金獅子賞

新文芸坐オールナイト『聖なる映画作家 カール・ドライヤー』観てきました~~~
うれすぃ~やっと観たカール・ドライヤー!!!
ゴダールの映画等で、部分的には知っていた『裁かるるジャンヌ』、ずっと観たいと思ってたのですよ。
すごいっす!! ちと興奮さめやらず状態でいまいち眠くない。帰りの電車でも本読んでたし。
しかも今読んでるのが、ミシュレの『魔女』っつーのが、めちゃめちゃグッドタイミングなのでありました!
もう、ミシュレの訴えてる事そのものなんだもん。『怒りの日』と『裁かるるジャンヌ』。

しかし寝ないとな。起きてまた書きます~。日記1日分で書ききれないかもしんない。

☆☆☆★★★☆☆☆

夕方まで寝てもーた・・・

※ネタバレありです※

★吸血鬼★
サイレントからトーキーにうつった頃って、サイレント時代のような字幕を使うのがよくありますが、これもそういう感じ。
んで、その字幕のバックに蜘蛛の巣をあしらっていたりするんです! 十字架だとか、毎回違うものを。あのセンスには唸りました。

本の通りに事が進んでいく恐さ。
昔の吸血鬼映画にある、本当に背筋の寒くなるような恐ろしさと、観ているこっちが「あー早くしないと!」とはやる気持ちになってしまう所が、この作品にもありました。これが吸血鬼映画の面白い所!
幽体離脱とかもあって、おもしろかった~。

主役のジュリアン・ウェスト (ニコラ・ドゥ・グンツブルグ) はなんかサイレントかなんかで見た事ある気がするんだが…あのギョロ目に見覚えがあるよーな。出てないっすか?
ジセール役のレナ・マンデルの綺麗な事! 彼女のセリフは実に音楽的で、歌うようにしゃべってました。

そしてカメラワークの見事な事!
棺桶の中から見ている様なカメラワークなどなど。
ゴダールは、ドライヤーを、グリフィスやラングやホークスと並ぶ偉大な映画作家と見なしていると言うけど、まさにその通り! しかし、それよりも、私はエイゼンシュテインと並び称したいと思います。

芸術的な映画作品は、退屈な場面もあったりする事が多いのですが、この『吸血鬼』は退屈な所など一切なく、おもしろく観ました。

これ観終わって、即プログラム買っちゃいました。全作品出ていて1500円。

 

★怒りの日★
中世には魔女狩りがあり、魔女と言われたら最後、想像を絶する拷問にかけられ、火刑に処された話は有名ですが、これが映像として迫ってくると、本当にこんな事が行なわれていたんだよな、と恐ろしくなります。(拷問そのものの映像はなかったんですが…) 人間って恐ろしい・・・
そして、笑いながら拷問を楽しんでいたヤツ等、こいつらは聖職者なんですよね。
ドライヤーの『怒りの日』は事実に基づいてつくられています。
子供程も年の離れた奥さんを娶り(息子よりも年下なんですぜ) この奥さんの母親は見逃したくせに、魔女マテを助けず、魂の救済だとか何とかばかりほざいている牧師アプサロンは、偽善者の極地とゆー感じではっ倒したくなります。
そして、このアプサロンの感情、アプサロンの母親、息子、奥さんの感情の変化が実によく伝わってくる。
表情がどの俳優もすごくうまいんです。
だからすごくリアル。
そーゆー事だけでなく、実に深い映画です。魔女狩りの事、人間の感情の事、人間の中に潜む<悪>の事、心の光と影の事などなど考えさせられます。



★裁かるるジャンヌ★
音楽なしのサイレントで、放映前に、御飲食等つつしんで周りのお客さんに御配慮を、とのアナウンス。いやー緊張しちゃいますね。ちょっとした音をたてただけでも結構目立っちゃいますから。

「『裁かるるジャンヌ』は、すべての俳優にメイクなしで演じさせることに成功した (おそらく映画史上初の) 映画だ」

とドライヤーは言ってますが、スゴイ!
夜中のいちばん眠い時間、くいいる様に観てしまいました。
クローズアップのすごい事!
天才的カメラワークは、この作品で頂点に達するよーな…
顔の部分的なアップなどなど、すごいんです、ほんと。
ジャンヌ役のルネ・ファルコネッティはほんとに美しい。
細かい表情の変化、この演技に圧倒されます。

この作品は、実際のジャンヌ・ダルク裁判そのものを忠実に再現しているそうです。ただ、この裁判を1日の間に行なわれているかのように描いていて、それにより、不必要な要素が省かれ、緊迫した雰囲気になっています。

ジャンヌの美しさと、フランスを助けた英雄を苦しめ楽しむ聖職者達の醜さが、実に見事にクローズアップによって対比しています。

神の事を語るジャンヌの表情を見ていると、「神に恋している」ような印象を受けました。

サイレント映画なので、今迄様々な音楽がつけられて放映されたそうですが、ドライヤー自身が指示した音楽はないらしく、私も音楽なしが一番正しい観方だと思いました。



★奇跡★
最初はニーチェ的なような、ドストエフスキーなような感じかな、と思って観ていました。
ドライヤー映画の全般的に、ニーチェ的なテーマがあるような気がします。
キリストと言うよりクリスチャン批判、教会批判が見てとれるからです。
信仰が薄くても、信仰がなくても善良な人達。彼等までも地獄に落ちるのが正しいと思っているキリスト信者。
この事は私も昔から考えている事でした。
キリスト信者の残酷さがすごく表れていて、信者でない、しかし心の清い人達が被る理不尽。苦しみ。ちとうるうるしながら観てたですよ。
それと、この作品、ユーモアのセンスもあるんです! 誰も笑っていなかったんだけど…ここ笑う場面でしょ?てのがちらほらと…
しかし、ラストがなあ・・・有り得ない事ではないのだけど。ポーの「早すぎた埋葬」の現象だとすれば。
だけどなあ…ちと納得いかんラストでした。



・・・と順番に書きましたが、ドライヤー映画は、語れば語る程陳腐な表現になってしまって、自分で嫌んなっちゃいますね。
ぜんぜんこの凄さが表現できてない気がします。

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吉乃黄櫻

Author:吉乃黄櫻
60~70年代のロック、サイレント~60年代あたりの映画、フランス・ロシア・ドイツなどの古典文学が好きな懐古趣味人。アジアン雑貨・ファッションやパワーストーンも好き。西武ライオンズファン。
峰不二子、デボラ・ハリー、ウエンディー・O・ウィリアムスが憧れの人!
身体にも環境にも良いエコ・石けん生活実施中&広めていきたいです。
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